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  • 年金分割の方法
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    樋口 紗弥

    こんにちは。樋口です。

    季節の変わり目で,家族全員が順番に風邪をひきました…。ブログをご覧の皆様も,体調にはお気を付けください!
    さて,前回の「年金分割をお忘れなく!」では,年金分割制度についてご説明しましたので,今回は,年金分割,特に離婚分割(合意分割)の手続について,説明します。

    1 年金事務所へ,情報提供の請求

    年金分割には,「年金分割のための情報提供通知書」という書類が必要です。情報提供通知書は,年金分割の対象となる期間や,その期間における夫婦それぞれの標準報酬月額・標準賞与額,按分割合を定めることができる範囲など,年金分割を行うために必要な情報が記載された書類です。

    情報提供の請求は,夫婦が共同で行うこともできますし,どちらか一方が単独で請求することも可能です。また,離婚前に請求することもできます。

    年金分割をお考えの場合には,まず,年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」という書類を提出し,情報提供通知書を取得しましょう。

    情報提供請求書は,日本年金機構のホームページからダウンロードできますし,年金事務所に郵送することもできますが,情報提供請求書は記載欄が多く,わかりにくい箇所も多いので,戸籍謄本(婚姻期間の記載のあるもの),年金手帳(可能であれば,夫婦両方)をお持ちの上,お住まいを管轄する年金事務所に行って,記載に不備がないか担当の職員に確認いただいた方が安心です。

    情報提供の請求を行ってから,情報提供通知書が手元に届くまで,3~4週間かかりますので,ご注意ください。

    2 按分割合の決定

    (1) 当事者間で合意ができた場合

    まず,当事者間で,按分割合をどう定めるのか話し合います。本人同士の話し合いで,按分割合の合意ができた場合には,当事者本人(もしくは代理人)が2人で,年金事務所に赴き,3で説明する年金分割の改定請求を行うことができます。

    この方法が,コストや時間を最も抑えることができますが,2人で年金事務所に行くことを避けたい場合も多いと思います。その場合,公正証書又は公証人の認証を受けた私署証書に按分割合を明記してもらう方法があります。また,概ね合意ができている場合であっても,(2)で説明する調停の申立による方法も可能です。調停申立をする場合,公正証書等を作成するより時間はかかる場合が多いと思いますが,手数料を節約できるというメリットがあります。

    (2) 当事者間で合意ができない場合

    按分割合について,当事者間で合意ができない場合には,家庭裁判所に調停の申立を行い,家庭裁判所の調停委員が間に入る形で,按分割合の協議を行います。

    まだ離婚が成立していない場合も,離婚するかどうか,離婚の条件をどうするか等を話し合うための夫婦関係調整の調停において,年金分割についても話し合うことができます。

    調停で話がまとまらない場合には,審判や離婚裁判(夫婦関係調整調停がまとまらず、離婚裁判を提起する場合)で,裁判官の判断で,按分割合が決定されます。

    調停や審判では,按分割合は50%と定めるのが通常です。

    3 年金分割改定請求手続

    当事者間の合意や,裁判手続による按分割合を決めた場合,当然に分割がされるわけではなく,社会保険庁に対し,年金分割改定請求を行う必要があります。

    2(1)の前半で説明した2人で年金事務所に行く必要がある場合以外は,当事者の一方が行うことができます。

    具体的には,年金事務所に,「標準報酬改定請求書」を提出します。必要書類は,戸籍謄本,年金手帳に加え,公正証書,調停調書,審判調書等の按分割合が記載された書面です。

    年金事務所は,分割改定請求を受けると,按分割合に基づき当事者それぞれの保険料納付記録の改定を行います。そして,改定後の保険料納付記録を当事者それぞれに「標準報酬改定通知書」を送付する扱いになっています。

    前回もご説明したとおり,年金分割には期間制限があり,原則として離婚成立時から2年以内に年金分割改定請求を行わなければなりません。

    年金分割の制度は,わかりにくい部分も多いので,離婚をお考えの方や,年金分割について話し合いをせずに離婚をなさった方は,是非一度ご相談ください。離婚・男女問題については,こちらもご覧ください。