
前回為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の問題点について書きましたが、今回はその解決方法について書きたいと思います。
解決方法は基本的に次の2つになります。
一 金融ADRの利用
ADRとは裁判外紛争解決手続のことであり、文字通り裁判所とは別個の紛争解決機関で話し合いを行うものです。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)は、そのほとんどが銀行との間の取引ですので、全国銀行協会という団体の行っているあっせん委員会にあっせんの申立をすることになります。
あっせん委員会にあっせんの申立をした場合、銀行はあっせん委員会での話し合いに参加する義務があります。業界団体である全国銀行協会が行う手続ということで、銀行に有利な判断をするのではないかと思われるかもしれませんが、あっせんを担当するあっせん委員は弁護士を中心に中立な第三者が行いますので、そのようなことはありません。
費用は無料なのですが、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)のあっせんについては、内容が専門的かつ複雑であるため、東京の銀行会館にある全国銀行協会で行うこととなっていますので、交通費が必要になる場合があります。
大まかな流れとしては、申立後に、銀行と申し立てた側の双方にあっせん委員会から照会がなされます。照会事項としてはそれぞれ主に以下のようなものです。
・申し立てた側
①為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の締結までの経緯
②為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の経験が過去にあるか
③会社の概要、仕入先とその金額等
①は説明義務の関係、②③は適合性の関係での照会となります(説明義務と適合性の詳細は前回のブログをご覧下さい)。たとえば主な仕入先が海外の会社でドル建の取引をしている場合、為替変動リスクがあるということになりますので、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)を行う必要性がある(適合性がある)と見られる可能性があります。
・銀行側
①為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の締結までの経緯
②為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の内容やリスクについてどの程度説明したか
③為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)を締結することの必要性(為替変動リスクの有無)を確認したか、確認したとしてどのようにして確認したか
①②は説明義務の関係、③は適合性の関係での照会となります
これらの照会に対する回答を踏まえた上で、東京の全国銀行協会であっせんを行います。あっせん委員が双方から個別に話しを聞きますので、銀行側と直接話すことはありません。
あっせん委員会としては、基本的に1回目の期日であっせん案を提示まで行くように心がけているようです。
私が先日あっせんを利用した件では、中途解約による解約清算金のうち4割を免除してもらうという内容であっせん案が出され、その内容で解決しました。詳細な金額までは書けませんが、数千万円の支払いを免れることになりました。
詳細な負担割合までは載っていませんが、全国銀行協会のこちらのページであっせん事例が数多く報告されています。
二 裁判所での訴訟
前回のブログで書いたように、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)を行う場合、銀行は説明義務を果たすと共に、適合性を確認する必要があります。
よって、その義務が果たされていない場合、訴訟を通じて損害賠償を請求することが可能にです。
ただ、訴訟の場合、解決まで短くても半年、通常は1年程度かかることから、私としては、①のあっせん手続を利用することをお勧めしたいと思います。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)に関する相談は、回数・時間を限定せず、無料で承っておりますので、遠慮無くご相談下さい。
最近、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)に関し、そのリスクについて十分な説明のないまま、取引(契約)を結ばされ、昨今の円高により、巨額の含み損が発生してしまったので何とかしたいという相談を受け、取引の相手方金融機関(銀行等)と交渉し、解決した事案がありましたので、何回かに分けて、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)に関する解決法について書きたいと思います。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)は高度な知識を必要とする金融取引であるため、取引を行おうとする金融機関には以下の義務を果たさなければならないとされています。
① 説明義務
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の特徴の一つとして、契約期間が長く(3年から10年まで幅広くあります)、その間は中途解約ができないというのがあります。中途解約をしようとする場合は、数千万から時には億を超える額の解約金を払う必要があるのが一般的です。
数年後の為替がどうなるかを見通すというのはプロでも非常に難しく、中途解約もできないとなると、契約者は多大なリスクを負うことになります。
このようなリスクについて、契約前に事前にきちんと説明をしなければならないというのが説明義務です。
② 適合性の確認
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)の内容として、通常、ある通貨を、契約期間中、一定の行使価格で購入する権利を相手方金融機関から購入するというものが含まれています。たとえば、5年間、3ヶ月毎に1万ドルを1ドル100円で買うなどです。
このような取引を行う目的として、一般的なものは、為替リスクのヘッジ(事前回避)です。たとえば輸入業者であれば、円安により輸入価格が高騰し、利益が減少するリスクを抱えています。しかし、一定の価格でドルを買う権利を有していれば、その価格以上に円安が進んだとしても、ドルを買う権利を行使すれば損失を防ぐことが可能になります。
では、取引先が全て日本国内で、為替の変動の影響を全く受けない会社の場合はどうでしょうか。この場合、当然、為替リスクは無いのですから、為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)をする必要性は、投機目的以外ありません。
このように、ある取引(金融商品)がその顧客に適合した取引(金融商品)なのかを、契約前に事前に確認するのが適合性の確認です。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)について金融機関を交渉する場合、主にこの2つについて、契約前にきちんと金融機関がその責任を果たしたかどうかを確認することとなります。
そして、金融機関が責任を果たしていないと判断される場合、金融機関と交渉をして、解約金を払わず中途解約するなどにより解決できる場合があります。
解決の方法はいくつかありますが、それについては、改めて書きたいと思います。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)に関する相談は、回数・時間を限定せず、無料で承っておりますので、遠慮無くご相談下さい。
文書で支払を請求したりする場合などによく用いられる内容証明ですが、そもそも内容証明とはなんでしょう。
内容証明は正式には内容証明郵便と言いますが、要は郵便局において、発送された文書と同じものを保管しておくことによって、必要な時にはその内容を証明してくれるというものです。ですので、内容証明自体に何か特別の効力があるわけではありません。
では、なぜ内容証明というものがあるのかというと、たとえば契約を解除しようという場合は、契約を解除するという意思表示をしなければなりません。
これを普通郵便で送った場合どうなるかというと、相手がそんな解除通知なんて受け取ってないと言ってしまえばそれまでです。
じゃあ書留で送ればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、書留はあくまで手紙が送られ、相手方が受領したことを示すものに過ぎませんので、これまた相手が手紙はたしかに受け取ったけど、解除するという内容ではなかったと言われてしまえばやはりそれまでです。
そこで内容証明郵便によって、契約を解除するという内容の通知を送ったことを証明する必要が出てくるのです。
それ以外の例としては、いついつまでに返すという返済期限を定めないで貸したお金というのは法律上は貸した方が返せと請求して初めて借り主は返済しなければなりません。そして返せと請求したときから延滞利息が付くことになります。
具体的に言うと、ある人に返済期限を決めないで100万円を貸して、今から1年前に普通郵便で返済を請求する文書を送ったとすると、特に延滞した場合の利率について定めなかった場合は年5%ですから、貸した方は元金と利息で合計105万円を払ってもらう権利があることになります。
しかし、普通郵便で送ってしまうと、借りた人がそんな返済をしてくれなんていう通知受け取ってないよと言われてしまえば、返済を請求したことの証明は困難です。その結果本来もらえたはずの利息ももらえなくなってしまいます。
ですから、こういった場合には内容証明郵便を使って請求することが必要になります。
新年明けましておめでとうございます。
本年も当事務所をどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年末、司法修習を終えた弁護士志望者のうち約2割が弁護士登録をしなかったというニュースが出ました。司法修習を終えればいつでも弁護士として登録できますが、登録の際にも費用がかかりますし、登録後は毎月5~7万円程度の会費を弁護士会に支払わなければなりません。弁護士登録をしない理由は様々ですが、法律事務所への就職が決まらず、かといっていきなり独立開業することも難しいことから、弁護士会費を払うあてがなく登録を控えている人が大半です。
だからといって既存の法律事務所が新人を採用していないというわけではなく、会員数約600人の札幌弁護士会においても昨年末35名もの新人弁護士が増えています(増加率でいうと約6%になります。)。ここ数年は同じくらいかそれ以上のペースで新人弁護士が増えていましたので、札幌弁護士会に所属する弁護士の数はこの10年で倍になりました。
では、10年前と比べて弁護士に依頼するような事件の数が倍になったのかというとそんなことはありませんので、当然のことながら競争が段々と激しくなってきています。
当事務所に昨年末に入所した阿部竜司弁護士も年が明けて本格始動となります。若手弁護士5名という体制を生かし、迅速・低廉・良質のサービスを提供していくことで、当事務所に依頼して良かったとお客様に満足して頂けるよう、今年もより一層頑張っていきたいと思います。
交通事故の解決事例をご紹介します。
今回ご紹介する件では、後遺障害は無く、争点としては休業損害の額と入通院慰謝料の額でした。
依頼者は、会社を経営されている方でしたが、特に従業員はおらず、事故による通院のため仕事が十分にできず、収入が減ったことから、役員報酬(会社が取締役などに払う給与)を減額していました。
しかし、保険会社は給与の減額について事故と関係するものかどうかが不明であるとして、当初は一切認めない姿勢でした。
また、入通院慰謝料についても軽度の怪我であることを理由に、こちらの主張より約30万円低い金額を提案していました。
この件では、話し合いによる解決は困難であると判断し、財団法人交通事故紛争処理センターによる示談あっせんの手続を利用しました。
この手続において、給与の減額が事故と関係するものであることを資料を提出して主張し、また、怪我についても診断書の記載を元に軽度の怪我ではないと主張しました。
その結果、こちらの主張に対し、あっせん担当者は理解を示してくれて、保険会社に示談を促してくれたため、交渉段階では100万円以下だったところ、約80万円増額した金額で示談が成立しました。
会社役員や個人事業主の休業損害の算定は、保険会社も請求どおりの額を認めないことが多いです。
当事務所は交通事故の法律相談は無料ですので、そのような保険会社の対応に困っている方はぜひご相談下さい。