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  • 離婚の生活費、別居中や離婚後は請求可能?生活費は公的支援も検討を
  • 離婚の生活費、別居中や離婚後は請求可能?生活費は公的支援も検討を
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    横山 尚幸

    以前、離婚までの手続と離婚原因、離婚裁判の期間などについてご紹介しました。

     

    協議離婚を目指し交渉を行う場合も、調停や訴訟で離婚を目指す場合も、すでに別居を開始している方が多いのが実情です。

    別居や離婚に伴い、生活が一変することになります。

    特に子どもがいるご家庭では、生活費の不安はかなり大きいでしょう。

     

    今回は、別居中など離婚までの生活費、離婚後の生活費が請求可能なのか解説していきます。

    離婚後に利用できる支援制度も合わせてご紹介いたします。

     

    別居中等、離婚するまでの生活費は請求可能

    特に離婚協議がきっかけとなり別居が開始した場合、生活費を渡してもらえなくなることも多いです。

    ですが、法律上、別居中の生活費は確保が可能です。

     

    別居中でも生活費は助け合う必要がある

    別居をしていたとしても夫婦である以上、互いに協力して扶助する義務があります。

    一方が生活費(婚姻費用)に困窮しているときは、他方に対して婚姻費用の支払を請求することができるのが原則です。

    夫婦間においては、自己の生活と同程度の生活を保持するという生活保持義務があるため、別居後、自分の家計が苦しいという理由で、婚姻費用の分担を免れることはできません。

     

    婚姻費用は、収入の高い方が支払う必要があります。

    例えば、妻が専業主婦で夫が会社員の場合、妻は夫に対して、別居中であっても婚姻費用として生活費を請求することが可能です。

     

    もっとも、別居原因がもっぱら、妻の浮気にあり、妻が相手の男性と一緒になるために別居したような場合には、婚姻費用の請求が権利濫用になると判断される可能性もあります。

    婚姻費用の請求が権利乱用に当たると判断された例として,東京家裁平成20年7月31日審判が挙げられます。

     

    婚姻費用の支払いに応じない場合

    婚姻費用の分担は、夫婦間で協議して定めることができます。

    ですが、婚姻費用を求めても相手が支払ってくれないなど協議が調わないときは、家庭裁判所に家事調停又は家事審判を申立てることができます(家事調停が調わないときは、家事審判に移行します)。

     

    法律上、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して」婚姻費用の分担を決めるとされていますが(民法760条)。

    具体的な金額の算定方法としては、婚姻費用算定表が活用されており、当事者双方の年収が確認できる資料(源泉徴収票や確定申告書)から、簡易迅速に金額が算定できる事案が多くなっています。

     

    婚姻費用分担請求調停は離婚調停と一緒に申立てられることも多いですが、婚姻費用が日々の生活費であり、簡易・迅速に定められるべきとの観点から、調停が成立しない場合には速やかに審判に移行する等、判断が急がれることも多いです。

     

    このように、離婚までの生活費は、婚姻費用として確保を目指すことができます。

     

    離婚後の生活費は請求できない

    婚姻費用の分担義務はあくまで婚姻中の義務であり、離婚後には生じません。

    そのため、離婚後の生活費は請求できず、自力で生活費を確保する必要があります。

     

    離婚時には、次のとおり,財産分与や慰謝料、子どもがいる場合には養育費を請求できることもありますが、離婚後の生活費という観点では、十分なものとはいえません。

     

    財産分与

    財産分与として分けることができるのは、預貯金や家などの不動産など、結婚後に夫婦で築いた共有財産です。

    共有財産は、名義がどちらであっても財産分与の対象になります。

     

    財産分与には、離婚後の扶養も考慮することは可能ですが、そもそも婚姻期間中に夫婦の共有財産が十分に築かれていることが前提となります。

    日々の生活に追われて、蓄えが全然できていない場合には、十分な財産分与を受けることはできません。

     

    財産分与に関しては「住宅ローンと財産分与」もご参考ください。

     

    慰謝料

    慰謝料は、相手方の有責不法な行為が前提とされるため、必ずしも慰謝料を請求できるとは限りません。

     

    芸能人の離婚騒動などではかなり大きな額の慰謝料を請求していることもありますが、一般的には,慰謝料を請求できた場合でも金額は必ずしも大きくないのが実際です。

    慰謝料の相場はケースバイケースですが、幅としては50万円〜300万円とされています。

     

    慰謝料のみで今後の生活費を賄うことは難しいと考えた方が良さそうです。

     

    養育費

    子どもがいる場合、その子どもが成人するまでの養育費を請求できます。

    養育費は、支払う側の年収や子どもの人数、年齢などによって変わりますが、婚姻費用同様に算定表が活用されます。

     

    養育費は、あくまで子どものみに対する扶養なので、婚姻費用よりも金額は小さくなります。

     

     

    繰り返しになりますが、財産分与、慰謝料、養育費は、離婚後の生活費という観点では、十分なものとはいえません。

    離婚を検討する際には、特にそれまで専業主婦をされていた方にとって、離婚後の生活費がネックになるのが現状です。

    離婚をする前に可能であれば仕事を決めるなど、お金に困らないような準備をしておく必要があります。

     

    離婚後に利用できる支援制度

    離婚後の生活費は自身で工面していく必要があり、財産分与や慰謝料、養育費なども生活していくには不十分です。

    特に子どもがいる場合は、公的な経済支援制度の利用も検討しましょう。

    代表的なものを簡単にご紹介します。

     

    児童扶養手当

    児童扶養手当は、ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)を対象に、子どもが18歳になって最初に迎える3/31まで、2ヶ月に1度、決まった額が母親、または父親に支給されます。

    支給額は扶養人数や所得により異なります。

    児童扶養手当|札幌市

     

    ひとり親家族等医療費助成制度

    ひとり親家庭の医療費を、一部負担してもらえる制度です。

    こちらも子どもが18歳になって最初に迎える3/31までが対象です。

    子どもだけでなく、親にかかった医療費に関しても助成を受けることができます。

    ひとり親家庭等医療費助成|札幌市

     

    母子父子寡婦福祉資金貸付金

    ひとり親家庭が対象の貸付制度で、子どもの進学や就職に必要となる資金や、親の事業に必要となる資金を無利子や低金利で貸付してくれる制度です。

    貸付には「修学資金」や「就職支度資金」、「事業開始資金」など種類があります。

     

    給付ではなく貸付となるので、しっかりと返済計画を立てて利用しましょう。

    母子父子寡婦福祉資金貸付|札幌市

     

     

    いずれも、問い合わせはお住まいの自治体が窓口になります。

    詳しい条件や内容については、各自治体にお問い合わせください。

     

    公的な支援制度は、離婚後の生活の強い味方となります。

    内容や条件を確認の上、利用を検討してみましょう。

     

    離婚の生活費問題は、専門家への相談がおすすめ

    離婚の際に問題となる生活費。

     

    離婚前の別居中であれば、生活費を互いに扶助する義務がありますが、離婚後はその義務がなくなるため、相手に生活費の請求をすることはできません。

    財産分与や、場合によっては慰謝料や養育費なども請求できますが、いずれも生活費としては十分ではない場合が多いのです。

     

    特に子どもがいる場合は、進学などの費用も必要となるため、公的な支援制度の活用も検討しましょう。

     

    離婚までの生活費、離婚時の金銭請求、離婚後の生活状況を踏まえ、離婚を検討したい場合には、知識のある専門家が力になります。

    当事務所の離婚の法律相談窓口もぜひご活用下さい。