ブログ

  •  > 
  •  > 
  • 成年後見の申立理由で多いものとは?成年後見はどんな時に必要か
  • 成年後見の申立理由で多いものとは?成年後見はどんな時に必要か
    ほっかい法律事務所
    堀江 健太

    成年後見は、ご家族が認知症などで判断能力が無くなってしまった場合に、本人に代わって財産を管理したり契約を締結するための制度です。

    近年、成年後見人等を選任しなければならない事案はかなり増えています。

     

    なぜ成年後見の申立が必要になるのか、また成年後見申し立ての必要書類や流れについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

     

     

    成年後見の申立理由で多いのは次の4つ

    成年後見はどのような理由での申立が多いのでしょうか?

    最高裁判所事務総局家庭局の「成年後見関係事件の概況(平成31年1月〜令和元年12月)」を参考に、成年後見の申立理由に多いものについて解説します。

     

    成年後見の申立理由① 預貯金等の管理・解約

    全体の40.6%と、申立の動機として最も多いものが「預貯金等の管理・解約」です。

     

    例えば、母親のためにお金が必要になったので母親名義の定期預金を解約したいが、母親の判断能力が無くなってしまったため自身で解約の手続きを取ることができないケース。

    また、一人で住んでいる父親の判断能力が無くなってしまったのをいいことに、訪問販売のセールスマンが高額の商品を売りつけたなどのトラブルにも後見人が対応できます。

     

    このような場合は後見制度を利用するしか方法がなく、家族が家族自身を成年後見人の候補者として申立てをすることができます。

     

    成年後見の申立理由② 身上保護

    成年後見の申立理由として、身上保護(身上監護)も多くあげられます。

     

    自宅での介護が困難なったため施設への入所をしたいが、夫の判断能力が無くなってしまったため入所のための契約ができないなどです。

    本人に代わって入所に関する契約を締結するには後見人が必要となります。

     

    成年後見の申立理由③ 不動産の処分

    父親や母親の判断能力が無くなってしまい、不動産を売るための売買契約ができなくなってしまったために、成年後見を申し立てることもよくあります。

     

    同居の家族が金銭管理をし、日常的な買い物は本人の判断能力が無くとも本人をお金を使って行うということは珍しくないですが、不動産を売却する場合は、必ず不動産の持ち主の意思確認が行われます。

    そのため、たとえば、自宅を売却して介護費用に充てたいが売却できないということが起きます。

    こういった場合には、成年後見人を立てて、成年後見人に不動産の売却をしてもらうことになります。

     

    ただし、成年後見人は本人の利益に沿うかどうかを検討してから行動するため、不動産を売却することが本人の利益にならないと判断すれば、不動産を売却しません。

    よって、成年後見人を立てたからといって、必ずしも不動産が売却できるとは限りませんので、ご注意下さい。

     

    成年後見の申立理由④ 相続手続

    母親が亡くなり、父親と子供達が相続人となったが、父親の判断能力が無くなってしまったため、遺産分割のための話し合いができないなどです。

    この場合は、父親と子供との間で利害対立があるため、子供は成年後見人にはなれず、弁護士等の法律専門家が成年後見人となるのが一般的です。

     

    相続手続が終わった後に、成年後見人が弁護士等から家族に変わることもあります。

     

     

    成年後見申し立ての必要書類や流れ

    成年後見申し立てには次のような書類が必要です。

    ・申立書類(申立事情説明書、本人の財産目録、収支状況報告書及びその資料、後見人等候補者事情説明書、親族の同意書など)
    ・医師の診断書
    ・本人と後見人候補者の住民票、戸籍謄本
    ・本人について成年後見等の登記が既にされていないことの証明書

     

    また、成年後見人が選ばれるまでの流れは、裁判所での申立人と後見人候補者に対する面談(事情聴取)から始まります。

    事情聴取の際、場合によっては精神鑑定が行われることもあります。

    その後、審判に進み、問題がなければ登記完了となります。

     

    最短でも1か月ほどの期間が必要となりますので、余裕を持って予定を組んでおきましょう。

     

    成年後見を選任する事案は増加傾向にあり、当事務所でも札幌における成年後見申立に関する情報の提供が必要であると考えております。

    そこで新たに成年後見に関するページを作り、Q&Aを掲載いたしました。

     

    申立にあたって必要となる書類や資料の書き方、申立の費用などはQ&Aで詳しくご紹介しております。

    詳しくはそちらもご覧ください。

     

     

    成年後見の申立理由はさまざま。申立には余裕を持った準備を

    成年後見を申し立てる理由は人やご家庭によってそれぞれです。

     

    上記のとおり最も多い動機は「預貯金等の管理・解約」で、次に「身上保護」が多くなっています。

    また、「不動産の処分」や「相続手続」も多い申立理由として挙がっています。

     

    成年後見の申立にあたっては、申立書類の他、診断書、本人について成年後見等の登記が既にされていないことの証明書など必要な書類も多いです。

    書類や費用などについては、成年後見に関するQ&Aでも詳しくお話しております。

     

    お困りのことがございましたら、当事務所へお気軽にご相談ください。