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  • 後遺障害等級認定結果の理由。画像所見のない場合の考慮要素とは?
  • 後遺障害等級認定結果の理由。画像所見のない場合の考慮要素とは?
    ほっかい法律事務所
    横山 尚幸
    ※横山尚幸弁護士は令和3年6月30日をもって当事務所を退所いたしました。本記事は当事務所在籍中に執筆したものです。

    事故後に通院を継続していたが、痛み等の症状が回復せず通院終了となった場合、後遺障害認定手続に進むことになり、後遺障害認定の結果は、書面にて知ることになります。

    書面には、後遺障害認定の結果とその理由が記載されていますが、理由を読み、どうしてその結果が導かれたのか理解することはできるでしょうか?

    理由を読んでも、どうしてその結果が導かれたのか、理解できない場合が多いと思います。

    今回は、後遺障害等級認定結果の理由と、画像所見がない場合の後遺障害認定の考慮要素について見ていきましょう。

    後遺障害等級認定結果の理由が理解しづらいのはなぜ?

    認定理由を理解できないのは、当然です。

    認定理由として記載された内容があまりに抽象的すぎることが原因といえます。

     

    例えば、複数の部位について後遺障害認定の申請をした場合、各部位の認定理由で同じ言い回しが使われていても、その意味内容が全然異なる場合があります。

    同じ言い回しでも、意味内容が全然異なる場合があることを知ったのは、自動車損害賠償保障法第16条の5第1項に基づき、照会を行ったことがきっかけでした。

    保険会社から書面にて後遺障害認定結果の理由等が知らされた場合、同条に基づく照会を行うことで,被害者はさらに詳細な説明を求めることができ、保険会社は書面にて回答する義務を負うことになります。

    同じ言い回しでも意味内容が異る場合の事例

    私が同条に基づき照会を行った件は、6ヶ所について後遺障害認定の申請を行ったが、全て非該当と判断されていた件でした(非該当の結果に納得いかないという理由で、当事務所の無料相談を利用されています)。

    その認定理由を読んでみると、4ヶ所で「本件事故による骨折等の器質的損傷は認められず」という言い回しが用いられていました。

    受任後に異議申立の準備として、外部機関に画像鑑定等を依頼することと並行して同条の照会を行いました。

    照会結果を読み、驚きました。

    同じ言い回しのうち、2ヶ所は「MRIに加齢変化はあるが、本件事故による骨折等の所見は認められないことから、本件事故による器質的変化は認められない」という内容、うち1ヶ所は「器質的変化は認められるが、本件事故によるものとは認められない」、うち1ヶ所は「加齢変化や外傷所見を含め、明らかな異常所見は認められない」という内容でした。

    異議申立を行う際には、非該当とした認定理由のどの部分に判断の誤りがあるか指摘することが重要となります。

     

    しかし、非該当とした正確な理由を知ることができなければ、的確な主張をすることは不可能であります。

    前記の事案では、異議申立を行った結果、無事、後遺障害14級が認定されています。

    異議申立は、被害者自身でも行うことはできますが、弁護士に依頼していただいた場合には、上記のような手段も活用することができるということです。

    画像所見がない場合の後遺障害等級認定の考慮要素とは?

    後遺障害等級認定の結果理由としてわかりづらいケースの1つに、「画像所見がない場合」も挙げられます。

    画像所見のないと当然後遺障害等級は非該当となりそうですが、画像所見のない場合でも、後遺障害等級が認められる場合があります。

    画像所見がない場合でも後遺障害等級が認定される場合がある

    交通事故の被害者の方の中には、一般に頚椎捻挫等の診断名がつく、いわゆる「むち打ち」症を生じる方が多いです。

    むち打ち症とは、事故の衝撃によって頚部に負荷がかかり、頚椎周囲の組織(靱帯、椎間板、頚部筋群等)に損傷が生じることをいいます。

    CTやMRIで、頚椎などの骨に画像所見が写るものもありますが、多くは軟部組織の損傷にとどまり、画像所見が認められません。

    このように画像所見が認められなくても、頭痛、首や肩、腕や手の痛みやしびれ、などの神経症状は生じることがあり、これがなかなか治らないということもしばしばです。

    画像所見のない「むち打ち症」でも、自賠責保険の後遺障害等級14級が認められる場合があります。

     

    画像所見がない場合の後遺障害等級認定の考慮要素

    後遺障害等級の判断にあたっては、以下のような要素が考慮されているものと考えられます。

     

    (1) 事故態様の重大性

    車の損壊状況などの客観的資料から認められる交通事故態様が重大なものであればあるほど、事故による人体への衝撃が強いことが推定できるので、後遺障害認定にあたり有利に考慮されるものと考えられます。

    そこで、交通事故態様をきちんと証明するために、事故車両の損壊状況を写真に撮影しておくことが重要になります。様々な角度、距離から、何枚も撮影しておくことが重要になります。

    交通事故の態様が重大なものであれば,車の損傷も激しいことが想定されるところ,事故車両の見積り時の資料も重要になります。

    (車の損傷が激しいということは,乗車していた人が受けた衝撃も大きいだろうと想像することが出来ます。もっとも,座っているときの姿勢によって,衝撃の受け方は異なるので,車の損傷と人体への衝撃が比例するとまでは言い切れるものではありません。)

     

    (2) 通院の頻度、期間

    通院頻度・期間が少ないとそれほど痛みがなく、治療の必要性も認められなかったのだと判断され、後遺障害認定にあたり消極的な要素となります。

    また通院頻度が少ないと、相手方保険会社から治療費の打切りを早期に求められることが多いです。

    仕事が忙しくてなかなか通院できないなど、ご事情はあるかと思いますが、痛みが続く限りは出来る限り治療を優先させ、最低でも1週間に1回は通院するようにしましょう。

    そして、痛みが続く限りは痛みを医師の先生に訴え、治療を打ち切られないよう求めていくことが重要です。

    画像所見なく後遺障害等級が認定された事案の中には、1年を超える通院後に症状固定となったものもあります。

    また、交通事故後なるべく早期に(出来るかぎり交通事故当日のうちに)、病院へ行き治療を受けることも重要です。

     

    (3) 後遺障害診断書の記載

    後遺障害診断書に、どのように症状が記載されているかも重要になります。

    一例を示すと、以下のとおりです。

    ・訴えのしびれや知覚障害の部位を図示す

    ・深部腱反射、病的反射を記載する(陰性所見も記載する)

    ・握力を記入する

    ・「脊柱の障害 運動障害」欄に、可動域の制限を(たとえ大きな制限が無くて も、制限が認められるのであれば)記載する

    このようなポイントを抑えた診断書を、医師の先生に記載してもらうことで、後遺障害が認定されやすくなるといえるでしょう。

    画像所見のない頚椎捻挫等であっても、上記のような要素によっては、後遺障害等級が認定される場合があります。

    そして後遺障害認定を少しでも有利に進めるため、交通事故に遭い怪我を負った場合には、お早めに弁護士に相談し、アドバイスを受けることをお勧めします。

    後遺障害認定の結果に納得いかない場合は当事務所へご相談を!

    当事務所には、後遺障害認定の結果に納得がいかず相談に来られる方も多いです。

    そして、弁護士が受任して異議申立を行ったことで、納得がいく後遺障害等級を得られた事案が多数あります。

    異議申立を行う際の工夫は、単純に本を読んでいるだけで習得できるものではありません。

    当事務所の弁護士全員が、創意工夫して事件処理に取り組み、互いに情報を共有しながら、日々研鑽を積んでいるからこそのものだと考えております。

     

    後遺障害認定の結果に納得が行かない場合には、是非、当事務所の交通事故無料相談を活用してみて下さい。