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  • 被害者に過失がある交通事故における自賠責保険の支払基準
  • 被害者に過失がある交通事故における自賠責保険の支払基準
    堀江・大崎・綱森法律事務所

    ※この記事を書いた早坂悟郎弁護士は平成27年10月12日をもって当事務所を退所・独立いたしました。

    早坂です。

    先日,被害者に大きな過失が認められる交通事故の事案で,自賠責保険の被害者請求を行ったところ,8割相当の保険金が支払われた事例がありました。

    被害者の方は,歩行中に車にはねられ,重い高次脳機能障害が残りました。

    しかし,実況見分調書等の客観資料から認められる事故状況からは,被害者の方に7割程度の過失が認められる事案でした。

    そこで,まず自賠責保険に被害者請求を行ったところ,高次脳機能障害が残存したとして5級が認定されました。その後,自賠責保険会社から,5級に相当する慰謝料・逸失利益の金額の8割(1200万円ほど)が支払われました。

    自賠責保険は,「支払基準」に基づき保険金が支払われます。

    この支払基準においては,交通事故の被害者が簡易に最低限の補償を受けられるようにとの自賠責保険法の趣旨から,被害者に過失がある場合であっても,重大な過失(7割以上の過失)が無い限りは,保険金額は減額されません。

    また,被害者側に7割以上の過失がある場合であっても,10割の過失がある場合でない限り,保険金額は減額はされますが支払われます。

    後遺障害部分についての,被害者の過失に応じた自賠責保険金の減額割合は以下の通りです。

    被害者の過失

    自賠責保険金の減額割合

    7割以上8割未満

    2割

    8割以上9割未満

    3割

    9割以上10割未満

    5割

    今回のケースでは,上記の「7割以上8割未満」の過失があると認定され,2割が減額されるにとどまり,1200万円という高額の保険金が支払われる処理になりました。

    このケースについて訴訟を提起した場合,過失相殺により7割が減額されるなどして,賠償金は,上記保険金額の3分の1程度しか認められなかっただろうと思われます。

    このように,被害者に大きな過失が認められる場合であっても,自賠責保険はそれほど割り引かれることなく支払われますので,このような場合には,訴訟ではなく自賠責保険の被害者請求を行ったほうが有利になることもあります。

    特に,今回のように重篤な後遺障害が残った場合には,自賠責だけでも大きな保険金額になりますので,こちらに大きな過失がある場合であっても,まずは被害者請求が可能か否か,弁護士に相談することをお勧めします。

    当事務所では,交通事故無料電話相談・無料メール相談を実施しております。