ブログ

  •  > 
  •  > 
  • 減収が無い場合の後遺障害逸失利益について
  • 減収が無い場合の後遺障害逸失利益について
    堀江・大崎・綱森法律事務所

    ※この記事を書いた早坂悟郎弁護士は平成27年10月12日をもって当事務所を退所・独立いたしました。

    交通事故の被害に遭い後遺障害が残った場合,一般に,後遺障害により労働能力が失われ,これにより将来にわたって減収が生じるものとして「逸失利益(将来における収入減少の補填)」が損害賠償として支払われることになります。

    しかし,逸失利益についての損害賠償を請求する場合に,加害者(保険会社)側から,「収入が減少していないので,逸失利益は認められない」という反論がなされることがあります。

    裁判所は,逸失利益については,後遺障害が無ければ得られたと考えられる収入から,後遺障害を残した状態で得られ,又は得られると考えられる収入を控除した差額が損害賠償の対象となるものと考えており,減収が無い場合には,「特段の事情」がない限り,逸失利益の損害賠償を認めないという立場を採っています(最高裁昭和42年11月20日判決民集21巻9号2352頁,最高裁昭和56年12月22日判決民集35巻9号1350頁)。

    では,減収が無い場合,どのような事情があれば,上記のような判例のいう「特段の事情」が認められて,逸失利益の損害賠償が認められるのでしょうか。

    この点,一般には,以下のような事情が考慮されるものといわれています。

    1. 1.昇進・昇給等における不利益が生じているか。
    2. 2.業務へ支障を来しているか。
    3. 3.退職・転職を余儀なくされる可能性があるか。
    4. 4.勤務先の規模・存続可能性。
    5. 5.事故前に比べ,本人が努力し,収入を維持していると認められるか。
    6. 6.勤務先の配慮や温情により,収入が維持されているに過ぎないといえるか。
    7. 7.生活上の支障が生じているか。

    交通事故損害賠償請求の訴訟では,以上のような事情を主張立証することによって,減収が無い場合であっても,逸失利益の損害賠償が認められる場合があります。

    実際,私が担当した訴訟案件でも,症状固定時において交通事故に遭う前よりも年収が約100万円も増額していた被害者の方について,上記のような事情(特に,昇進が遅れたこと,後遺障害によって現在業務に支障を来していること,本人の努力によって現在の地位・収入を確保していること)を主張立証することにより,逸失利益の損害賠償を認める高等裁判所の判決を獲得できた例があります。

    このように,交通事故により後遺障害が残った場合,減収が無い場合であっても,「特段の事情」を主張立証することによって逸失利益の損害賠償が認められる場合がありますので, 「収入が減少していないので,逸失利益は認められない」という加害者(保険会社)側の主張を安易に受け入れてしまうと,本来得られるべき損害賠償額が得られないこともなりかねません。

    逸失利益が認められるかどうかによって損害賠償額は大きく異なることになりますので,このような場合には,ぜひ弁護士にご相談されるようお勧めします。

    当事務所では,交通事故無料電話相談・無料メール相談を実施しております。