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  • 交通事故,「人身事故」と「物損事故」の違いとは・・・?
  • 交通事故,「人身事故」と「物損事故」の違いとは・・・?
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    阿部 竜司
    ※阿部竜司弁護士は平成28年9月30日をもって当事務所を退所・独立いたしました。

    こんにちは。弁護士の阿部です。

    交通事故についてご相談にいらっしゃった方からよくご質問を受ける事項として,「人身事故」と「物損事故」の違いという点があります。

    みなさんはこの2つがどう違うかご存知でしょうか?

    以下,両者の違いを整理していきたいと思います。

    「人身事故」と「物損事故」の違い(1)

    「人身事故」では刑事罰や行政処分(免許停止等)がありうるが,「物損事故」ではそれらはない

    「人身事故」の場合,加害運転者には,自らの不注意な運転により人に怪我をさせてしまったということで,「自動車運転過失致傷罪」という犯罪が成立します。

    そのため,被害者の怪我が重たい場合や,過失の内容が悪質な場合などには,罰金刑を科されたり,場合によっては懲役刑を科されることもありえます。

    (もっとも,何度も人身事故を起こしているような人でなければ,怪我がさほど大きくない事案では刑罰を科されない形で事件処理が終わることが多いです。)

    また,「人身事故」の場合は,行政処分の対象にもなります。

    これは,端的にいえば,免許の点数を引かれて,場合によっては免許停止や免許取消しという事態もありうるということです。

    以上に対して,「物損事故」の場合は,刑事罰も行政処分も科されることはありません。

    したがって,「物損事故」の場合,事故の発生について責任を負う運転者は,事故の相手方が被った車両損害の賠償をどうするかという点についてのみ対応すればよいということになります。

    「人身事故」と「物損事故」の違い(2)

    事故状況に関する詳細な資料が作成されるのは「人身事故」のみ

    違い(1)でご説明させていただいたとおり,「人身事故」の場合,刑事罰を科されることがあります。

    そのため,警察が,例えば窃盗事件や殺人事件などと同様に,犯罪が発生したとして,どのような事実関係があったのかを捜査し,実況見分(当事者や目撃者立ち会いのもと,事故現場において,事故当時の状況について詳細な調査を行うことです。),事故当事者や目撃者から事情聴取を行うなどして,証拠を確保するための活動を行います。

    これらの証拠は,「実況見分調書」や「供述調書」という形で,書類化されていきます。

    そして,それらの証拠のうち一部については,事後に被害者がその写しを取得することも可能とされています。

    事故の発生について双方に一定の責任があると思われるようなケースにおいては,しばしば,どちらがどのくらいの割合で責任を負うか(いわゆる「過失割合」をどうするか)という点で争いが生じます。

    この時に,上記の実況見分調書など,警察によって作成された証拠があると,それを有利な材料として用いることで,事件の解決に向けた交渉を有利に進めることができることもあります。

    これに対して,「物損事故」の場合は,犯罪ではないことから,犯罪に対する捜査機関である警察は,特に事故に関する詳細な資料を作成することはありません。

    そのため,物損事故の場合は,しばしば当事者自身の認識以外に何ら事故の発生原因を特定する材料がなく,過失割合について交渉が難航するということがあります。

    私は,時々,ご相談にいらっしゃった方から,『怪我がそんなに重たくはなかったし,事故直後にちゃんと加害者が謝ってくれたから,免許の点数を引かれるのもかわいそうだと思って,人身事故して届出はしていません。』いうような話を聞くことがあります。

    ですが,単純な追突事案や,相手方の赤信号無視など,事故発生の原因について事後に争いが生じる心配が少ない事案でない限り,ちゃんと「人身事故」として警察に捜査活動をしてもらっておいた方が,後になって事故状況に関する証明手段に苦労するというような事態の発生を回避できる余地があるといえます。

    「人身事故」と「物損事故」の違い(3)

    「人身事故」は警察への届出が必要で,「物損事故」は不要

    これも違い(1)や違い(2)と関連しますが,犯罪として警察が捜査するには,そもそも事故によって怪我をしたという事実を警察が把握する必要があります。

    そして,警察は,被害者が怪我をしているかどうかを自主的に調べることまではしませんので,被害者から,怪我をしたことの証明書(病院からの診断書)をもって,「人身事故」の届出を行う必要があります。

    まとめ

    以上のように,「人身事故」と「物損事故」では,刑事罰を科されるか否かという点から大きな違いが生じます。

    怪我をした場合に「人身事故」として届出をすることについては,その後の実況見分や事情聴取に一定程度時間をとられるということ以外にこれといってデメリットはないと思われますので,交通事故によりお怪我をされた場合,それがどんなに軽いものであったとしても,「人身事故」として届出をしておくのが無難かと思われます。

    なお,仮に,怪我をしたにもかかわらず「人身事故」として警察に届出を行っていなかったとしても,例外的な場合を除いて,加害者側の保険会社は治療費等の補償を行いますので,その点はご安心ください。

    堀江・大崎・綱森法律事務所では交通事故損害賠償の無料電話相談・無料メール相談を実施しておりますので,ぜひご相談ください。