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  • 離婚手続の進め方。離婚裁判にかかる期間はどれくらい?
  • 離婚手続の進め方。離婚裁判にかかる期間はどれくらい?
    ほっかい法律事務所
    横山 尚幸
    ※横山尚幸弁護士は令和3年6月30日をもって当事務所を退所いたしました。本記事は当事務所在籍中に執筆したものです。

    夫婦間で離婚を検討し始めた場合、夫婦のみでの話し合いがうまく進まないといったことは少なくありません。

    その場合、親や共通の知人に協力してもらうことも多いと思いますが、弁護士に依頼をして離婚手続を進めるという方法もございます。

    今回は弁護士に依頼した際の離婚手続の進み方、法律で認められている離婚原因、裁判手続に要する期間などについてお話いたします。

     

    離婚事件の手続きの進め方

    弁護士が離婚事件を受任した場合、協議離婚を目指し相手方と①交渉(協議)するという方法が考えられます。

     

    当事者間の協議において条件等が合致せず協議離婚ができない場合には、裁判所を利用して離婚を目指すことになります。
    (もちろん既に調停・訴訟になっている離婚事件を受任する場合や協議の余地がないために調停から始める場合もあります。)

    裁判所を利用する場合、調停前置主義(家事事件手続法257条1項)により、離婚訴訟を提起する前に家庭裁判所に②離婚調停を申し立てなければならないとされています。

    離婚調停では、間に入った調停委員が当事者双方の意見を調整した結果、当事者間に何らかの合意が成立した場合(円満合意、離婚の合意、冷却期間のため別居の合意など)、調停成立となります。

     

    合意が成立せず調停不成立になったにもかかわらず離婚の目的を達したいときには、③離婚訴訟を提起することになります。

     

    法律で認められている離婚原因について

    ①交渉(協議)、②離婚調停と③離婚訴訟(訴訟中の和解を除く)の大きな違いは、離婚原因が法律で定められているか否かという点です。

     

    ①交渉(協議)と②離婚調停は、当事者間に合意が成立しさえすれば理由の如何を問わず離婚することができるのに対し、③離婚訴訟において(当事者間に合意が成立せず=和解離婚とならず)判決に至る場合には、離婚理由が法律上の離婚原因に限定されます。

     

    具体的には、民法770条に規定される次の事由がある場合に限り判決離婚(裁判離婚)が可能となります。

    ⅰ 配偶者に不貞な行為があったとき。
    ⅱ 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    ⅲ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
    ⅳ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    ⅴ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

     

    上記のとおり、離婚相談でよく聞く「性格の不一致」は法律上の離婚原因とはされていません。

    そのため、「性格の不一致」を理由に離婚訴訟を行ったとしても、それのみでは判決離婚(裁判離婚)することはできません。

    離婚訴訟において離婚原因と認められるためには、例えば、性格の不一致を理由に別居を開始し別居期間が長期に及ぶ等、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると判断されなければなりません。

     

    離婚調停にかかる期間はどれくらい?

    まずはこちらのグラフをご覧ください。

    離婚調停にかかる期間のグラフ

    出典:「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書

    このグラフは裁判所が統計をとったものです。

    平成17年以降の平均審理期間(裁判期間)のグラフですが、調停が成立した事案の裁判期間が右肩上がりとなっており、平成28年は離婚調停の平均は5.8ヶ月と、離婚調停にかかる期間は長期化傾向にあります。

     

    長期化している理由については、上記報告書では触れられていません。

    ただ、当事務所の経験からですが、札幌家庭裁判所での調停事件において期日(調停を行う日)の間隔が、前は1ヶ月程度であったものが1ヶ月半から2ヶ月となっていて、裁判所のマンパワーが不足しているように感じます。

    とはいえ、概ね半年程度の期間で一定の結論が出る場合が大半ということになります。

     

    離婚訴訟になった場合はさらに長期間に

    しかし、結論が出るといっても調停不成立という結論の場合もあります。

    それでも離婚したいという場合は、離婚を求める訴訟を起こすことになります。

    離婚訴訟になった場合の期間のグラフ

    出典:「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書

    その場合の平均審理期間(裁判期間)ですが、平成28年は平均は12.3ヶ月とこちらも長期化傾向にあります。

    上記報告書においてその理由が分析されているのですが、財産分与についても争点となっている事件が増加しているからではないかとされています。

     

    長期化している理由はさておき、調停でまとまらずに訴訟まで行ってしまった場合は、調停の期間も併せて1年半近くかかることとなりますので、一刻も早く離婚したいと思う当事者にとってはとても長い時間となってしまっています。

     

    離婚手続きでお困りの方は当事務所までご相談ください

    今回お話したように「その他婚姻を継続し難い重大な事由」のハードルは必ずしも低いといえないこと、調停を経て離婚訴訟まで至る場合には長期間要することから、離婚事件においては離婚について相手方の同意があるか否か、離婚したい理由が法律上の離婚原因であるか否かが大切になってきます。

    相手方の同意の有無と法律上の離婚原因の有無によって協議離婚や調停離婚を目指す際に提示する条件内容も異なってきます。

     

    離婚は当事者にとって精神的にも体力的にもつらいものです。

    協議がうまく進まずこじれてしまう前に、ぜひ弁護士事務所へのご相談をおすすめします。

    当事務所でも離婚問題に関する無料相談を行っています。夫婦関係でお悩みの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。