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  • 交通事故の請求事例。後遺障害の等級認定や賠償額が増額したケース
  • 交通事故の請求事例。後遺障害の等級認定や賠償額が増額したケース
    ほっかい法律事務所
    堀江 健太

    こんにちは。弁護士の堀江です。

    今回は、交通事故により障害を負った被害者の方から相談を受け、後遺障害の等級認定や賠償額の増額に至った事例をご紹介します。

    【1】脊柱変形障害の後遺障害認定につき異議申立てが認められた事例

    【2】非器質性精神障害について判決で交通事故との因果関係が認められた事例

    【1】脊柱変形障害の後遺障害認定につき異議申立てが認められた事例

    交通事故に遭い、脊柱変形障害の後遺障害を負った被害者の方の自賠責保険後遺障害等級異議申立てを行い、これが認められて8級から6級に変更になった事案です。

    当初、自賠責保険被害者請求を行うにあたり後遺障害診断書を提出しましたが、脊柱変形障害については「脊柱に中程度の変形を残すもの」として8級相当であるとの認定でした。

    しかし、後遺障害診断書に記載されている脊柱の幅の数値を計算すると、被害者の方の脊柱の変形の程度は「脊柱に著しい変形を残すもの」として6級の認定がされるべきものでした。

    等級認定を担当する自賠責調査事務所の調査員に問い合わせると「後遺障害診断書を記載した医師は、脊柱の幅の数値を適切な図り方で計測していない。当職が、お預かりした画像を正しい方法で図りなおした結果、8級に相当する変形しか認められなかった」とのこと。

    医師でもない調査員が計測した数値と、医師が計測した後遺障害診断書の数値と、どちらが信用できるでしょうか。私は後者だと思いました。

    そこで診断書を作成した医師と面談し、計測方法に問題がないことを確認した上で等級異議申立て行った結果、6級の後遺障害が認定されました。

    このように、自賠責保険の等級認定は、医師などの専門家ではなく単なる調査員が障害の程度を評価するため、時には信用性に欠ける結果となる場合があります。

    そのような場合には異議申立てを行うことで、専門家により構成される「審査会」で再度審査を受けることができる可能性があり、今回のように等級が変更になることもあります。

    後遺障害等級の認定に疑問を感じたら、弁護士に相談されることをお勧めします。

    【2】非器質性精神障害について判決で交通事故との因果関係が認められた事例

    交通事故に遭い、これをきっかけに全般性不安障害という精神症状を発症してしまった方について、後遺障害等級14級を認める判決が下された事例がありました。

    この方は、事故により脳に障害を負ったという訳ではありませんでしたが、事故に遭ってしまったショックにより外を出歩くことが怖くなり、突然不安な症状に襲われ、動悸、振えが止まらなくなるという重篤な精神症状が生じました。

    事故後間もなく、精神科医師より「全般性不安障害」の診断を受け、抗不安薬等の処方を受けることになりました。

    その後、被害者の方は、事故による首の痛みの治療のため脳神経外科病院を受診しました。

    同病院の医師より、首の治療の薬と合わせて、不安障害についても抗不安薬等の処方を受け始めたため、精神科への通院を中断しました。

    自賠責の被害者請求を行ったところ、後遺障害認定は「非該当」の結果でした。

    理由は「精神科の専門医の治療について中断期間があり、事故と精神症状との因果関係が認められないため」というものです。

    そこで訴訟を提起し、(1)抗不安薬の処方を受け続けており、症状が回復したわけではないこと、(2)被害者の方がつけていた事故後の日記からも不安症状は明らかに見てとれることを立証した結果、交通事故による精神症状が残存しているものとされ、非器質性精神障害として14級の後遺障害を認める判決が下されました。

    今回のような脳に損傷が認められない非器質性精神障害については、自賠責は後遺障害の認定に消極的な傾向があります。

    しかし、事故後きちんと日記をつけ、治療のために精神科病院に通院を継続することで、裁判において事故と因果関係のある後遺障害を証明できる場合があります。

    ※ここでご紹介した裁判例(札幌地裁平成25年3月27日付判決)が、交通事故の裁判例を紹介する専門雑誌「自保ジャーナル」1899号125ページに掲載されました。

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