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  • 相続問題は弁護士へ!兄弟・姉妹間トラブルの特徴と解決方法
  • 相続問題は弁護士へ!兄弟・姉妹間トラブルの特徴と解決方法
    ほっかい法律事務所
    堀江 健太

    体感ではありますが、親が亡くなった場合の相続事件においては、もう一人の親が存命中の場合より、親が両方とも亡くなった後に兄弟・姉妹間で揉めているという場合が多いです。

    依頼者に事情をお聞きすると、父親ないし母親が亡くなった時には、とりあえずもう片方の親がいったん全てまたは大部分を相続する形になったという話しをされることが多いです。

    では、具体的にどういったことで揉めるのかについてご紹介していきます。

    弁護士から見る、近年に多い兄弟・姉妹間での相続問題の理由

    裁判所が作成した資料である「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」に、近年の遺産分割事案の特徴が載っていますので、まずはそちらを見てみましょう。

    裁判の迅速化に係る検証に関する報告書

    上から順番に、揉める事が多い理由についてさらに詳しく解説していきます。

    ①最近は、平等に法定相続分を取ることへの意識が高まっている一方、長子承継的な考え方も残っており、価値観の対立が先鋭化している

    長男とその他の兄弟・姉妹の間で揉めるパターンです。

    「長子ということでこれまで色々な負担を負ってきた。だから相続の時には多く相続するのが当然だ」という主張がされることは珍しくないです。

    このような価値観の不一致の場合、対立している兄弟・姉妹の側からの説得は難しく、遺産分割調停の中で、裁判所に、法律では兄弟・姉妹の相続割合は平等なのだと説得してもらうことが有効です。

    ②少子化もあって、我が子に頼らずに生活するために親を相続する機会に多くの財産を得たいなど、相続の生活保障機能への期待が強まっている

    これは弁護士業務を行っていて、非常に感じるところです。

    上記資料の統計によれば、私が弁護士登録をした平成16年の遺産分割事件の新受件数(家庭裁判所が受け付けた事件の数)が12,154件で平成26年は15,261件だそうですので、10年間で20%ほど事件数が増えた計算となります。

    上記資料の中では「高齢化に伴う死亡者数の増加の影響があると考えられる」とありますが、それだけではなく、昔であれば兄弟間で揉めること避けるために特定の兄弟・姉妹の誰かが我慢して事を収めていたものが、年金支給額の抑制傾向などから来る将来の生活への不安から、権利を正当に主張することが増えていることも一因ではないかと思います。

    ③兄弟が2人で仲介する役割の者がいないことや、当事者本人が詳細な主張を出すことが増えている

    これはどうでしょうか。

    兄弟・姉妹の数が多ければ、仲介する役割の人が居て、揉めることは少ないとなるかというと、あまりそうは思えないです。

    逆に兄弟・姉妹の数が多ければ、それぞれの思いがあり、なかなか遺産分割がまとまらないということもあります。

    ④同居して被相続人を介護した者が、寄与分等の形で自身の貢献を訴えたり、介護に伴う出費を相続の機会に回収しようとしたりする傾向が強まっている

    強まっているかどうかはさておき、親と同居していた兄弟・姉妹と同居していない兄弟・姉妹との間で揉めるというのは非常に多いです。

    親と同居していた兄弟・姉妹の思いとして

    ・これだけ介護に苦労したのだから、その分が遺産分割の際に反映されて当然だ

    ・親の預金は、一部自分たちのためにも使っているが、ほとんどは親のために使ったものだし、介護を負担している自分たちが多少使って何が悪いのか

    といったようなものがありますし、同居していない兄弟・姉妹からすれば

    ・同居はしていなくても介護には協力した

    ・同居しているからといって親のお金を勝手に使うのは許せない

    といったものがあり、誰も親と同居していない、または亡くなる最後の数年は施設に入っていたという場合と比べて、揉めることが多いのはやむを得ないように思います。

    ⑤被相続人死亡後に相続人の一人が財産を費消した点が不当利得に当たるか否かが争われる事例が増えている

    「被相続人死亡後」とありますが、実際に相続問題を扱っていて、親が亡くなる前に、同居している兄弟・姉妹が預金を使ってしまっていて、その扱いについて揉めるという方が圧倒的に多いです。

    「被相続人死亡後」に払い戻して費消した場合は、よほどのことが無い限りは、他の相続人の相続分を侵害したものとして、返還の対象になるので、この点で揉めるという印象はあまり無いです。

    ⑥遺言制度についての認知度が高まり,公正証書遺言が作成される場合が増えている

    私の体感ではありますが、たしかに遺言がある遺産分割事件は増えているように思います。

    遺言の内容は、特定の相続人が遺産を全部取得することとなっていることが多いため、民法上定められた取り分である遺留分を請求するという形になります。

    上に挙げたように、親と同居していた兄弟・姉妹と同居していない兄弟・姉妹の間で折り合いが付かないことが多いです。

    解決のための選択肢として、双方が納得できるような分割案の提示や遺産分割調停・審判の申立てなどがありますが、一人一人の置かれた状況によって適切な選択肢は異なります。

    兄弟・姉妹の相続問題、一人での解決より弁護士へ相談だけでも

    自分にはどういう選択肢があって、どれが適切かどうかについて、一人で考えて悩むよりは、無料の弁護士相談を受けられることをお薦めします。

    弁護士に相談したからと行って、相続について弁護士に依頼する必要はありません。

    弁護士から考えられる選択肢について、十分な説明を受け、かつ弁護士に依頼した場合の費用について説明を受けた上で、依頼するかどうかお決めいただければ大丈夫です。

    兄弟・姉妹間の相続問題で揉めている方や揉めそうだから予め相談しておきたいという方は、ぜひ札幌での遺産相続に強い当事務所の無料相談をご利用下さい。