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  • 現実に減収がない場合の逸失利益
  • 現実に減収がない場合の逸失利益
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    大崎 康二

    交通事故に遭って,後遺障害が残った場合,その後遺障害によって生じると予想される将来の減収分を逸失利益として損害賠償請求することができます。

    例えば,交通事故で脊髄損傷になって,身体の一部に麻痺や不全が残ったという場合には,その後遺障害音程度に応じて,事故前と同様の労働ができなくなり,収入が減少することが考えられます。このような場合には,その後も継続すると予想される減収分を逸失利益として請求することができます。

    逸失利益の請求については,後遺障害認定の時点ですでに減収が発生している場合には,将来的にもその減収の継続を予想しやすく,特にトラブルにはなりにくいのですが,就労先の配慮や仕事の内容によっては,後遺障害が残っても,現実の減収は生じないということがあります。

    このように現実の減収がない場合の逸失利益の請求については,保険会社が逸失利益の支払を拒否するなどして,トラブルになることが多く,裁判の中で争いになることもよくあります。

    このようなケースについての裁判所の考え方は,「軽微な後遺障害」で「現実の減収がない」場合には,「特段の事情」がない限り,逸失利益の賠償を認めないというものです。

    そして,どのような事情が「特段の事情」に当たるのかについては,①減収がないことが本人の特別の努力によるものである場合や,②仕事の性質上,昇進や転職の際に不利益な取り扱いを受けるおそれがある場合が典型例として説明されています。

    実際の裁判では,実際の減収がなかったとしても,上記の①,②の事情を比較的緩やかに認定することで,逸失利益の賠償を認める傾向にあるといえます。特に重度の後遺障害の場合には,減収が発生しないのは,本人の努力によるものだということを事実上推定し,逸失利益の賠償を認める傾向が強いといえます。

    減収が発生しにくい職種として,特に指摘されるのが公務員の方です。公務員の方については,上記の①,②の事情が認められにくいという面はあるものの,最近では,障害の程度や職務の内容から,一定の逸失利益の賠償を認めた裁判例も多く出るようになってきています。

    このように現実の損害が未発生の場面で損害賠償を認めるのは,裁判に一種のフィクションを持ち込むことになります。

    裁判である以上,現実の損害発生の有無はもちろん重視されるものの,後遺障害が残ったことによって将来発生する事態をすべて的確に予想することはできないことから,裁判所としても被害者保護の観点から,上記のように比較的緩やかな運用を行なっているのではないかと考えています。

    以上のように,現実の減収がないとしても逸失利益が認められる可能性はあります。保険会社から逸失利益を支払えないという話があったとしても,すぐに諦める必要はありませんので,まずは当事務所に相談いただければと思います。

    当事務所では交通事故無料相談を実施しております。