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  • 【成年後見】弁護士などの専門職が成年後見人に選任されるケースと報酬問題
  • 【成年後見】弁護士などの専門職が成年後見人に選任されるケースと報酬問題
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    大崎 康二

    成年後見の申立をした後に誰が成年後見人になるのか?

    この問題は本人と家族にとっては重要な問題です。家族としては,自分たちが後見人になろうとして成年後見の申立を行ったとしても,その希望が通るとは限りません。

    むしろ最近の全国統計では,成年後見の申立を行ったケースの約60%で専門職後見人(弁護士,司法書士,社会福祉士,税理士)が選任されているデータが発表されていますので,成年後見人の選任に関する家族の意向が通らないケースの方がかなり多いということができそうです。

    成年後見人の選任は家庭裁判所の権限になりますが,裁判所はなぜ家族がいるケースでも成年後見人を専門職にするのでしょうか。

    専門職の専門知識が必要なケース

    1つには想定される後見業務の内容から,専門知識が必要であり,家族が後見業務を行うことが困難と考えられるケースがあるということです。

    例えば,不動産資産が多数あって,その管理が困難なケースや,被後見人が相続人となっている相続問題や回収すべき債権などがあって,法律の専門知識が必要なケースや,本人の身上監護上の課題があって,福祉の専門知識が必要なケースなどです。

    こういったケースでは,上記で列記したような専門職が選任されることになります。

    一定額以上の預貯金等の流動資産を管理するケースでも弁護士などが選任されますが,これもこのカテゴリーに入れることができるかもしれません。

    家庭内紛争があるケース

    また,家族内に紛争があって,家族の一人を後見人とすることに他の家族の同意が得られないというケースでも専門職後見人(主に弁護士,司法書士)が選任されます。

    成年後見の申立においては,必ず成年後見の申立に関して,被後見人の推定相続人となる親族の意向調査が行われますが,この意向調査において,親族の同意が得られなければ,申立人となった親族が後見人として選任されることはありません。

    これは,申立人が自分の依頼した弁護士を後見人候補者として申立を行った場合も同じで,この場合には裁判所が選任する他の弁護士が後見人となります。

    虐待が疑われるなど対応困難なケース

    さらに,家庭内に身体的・経済的な虐待が疑われるような対応が困難なケースでも専門職後見人が選任されることになります。

    このようなケースでは同居家族以外の親族や行政から虐待状態からの解放を目指して成年後見の申立がされるのが通例であり,非常に対応が困難なケースであることから,専門職後見人が選任され,特に専門職の中でも経験豊富な方が選任されているように思います。

    このようなケースでは逆に被後見人本人による家庭内暴力があり,家族が後見人となることを希望しないケースもあります。

    専門職の報酬問題

    このように被後見人本人に親族がいるケースで専門職後見人が選任されるときに問題となるのが後見人の報酬問題です。

    後見人の報酬は,被後見人本人の資産の中から支払われますが,その金額は裁判所が後見人の業務内容を踏まえて審判によって決めていることで,特に不服申立の制度は認められていません。

    そのため,自分が後見人になろうとしていた家族からは不満が述べられることがあり,そのことが今後社会的にもっと問題視されるようになるかもしれません。

    逆に北海道などの地方では,専門職の報酬を負担するだけの資産をお持ちではない方の成年後見で専門職後見人が選任されるというケースがよく見られます。

    現状では,このようなケースでは,行政(市町村長)が申立人となった後見事件では行政の報酬援助制度により行政に一定金額の報酬を負担してもらえます。

    しかし,家族が申立人となっているケースでは,このような報酬援助制度は利用できず,専門職後見人が完全にボランティアで,場合によっては交通費などの経費を持ち出ししながら対応を行っています。

    そのため,専門職団体は,地方自治体に対して,報酬援助制度の適用範囲を親族申立の事件にも拡張するように求めて活動していますが,これは自治体によって動きに差があり,北海道では,まだまだ解決にはほど遠い状況と言わなければなりません。