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雪道での事故の過失割合の決め方は?積雪状況はどう考慮される? ほっかい法律事務所種田 紘志弁護士の種田です。
今回は、交通事故のテーマの中から、雪道で事故が起こった場合の過失割合ついてお話をさせていただきます。
雪道での事故は、雪のない道路での事故に比べ、過失割合を決定するために考慮すべき点が多いのが特徴です。
どのような道路状況が過失割合の影響するのか、またスリップが起きた場合の過失割合の決まり方などについて、詳しく解説します。
一般的な交通事故の際の過失割合の決まり方
交通事故が発生した際には、事故がどのような態様や場所で起こったかが、受け取れる損害額に影響します。
事故の態様とは、追突、センターラインオーバー、出会い頭衝突などの事故状況です。
このほか事故発生場所の道路状況について、交差点か交差点以外か、交差点としても、標識があるのか、路幅はどうかなどが考慮されます。
交通事故の過失割合や過失相殺については、リンク先のコラムでも詳しく解説しているので、あわせてご参考ください。
雪道での交通事故の過失割合の決まり方。過失割合に影響する道路状況
積雪によって事故発生時の道路が通常の道路状態とは変化していた場合は、事故当時の道路状況をもとに過失割合が考慮されます。
雪のために変化しやすい道路状況について見ていきましょう。
積雪による路幅の減少
路幅は過失割合を決める際に重要な基準となります。
路幅にはっきりと差がある場合は、広い道路を走行する車両の方が過失割合が低いと考えられます。
どちらも同程度の路幅だった場合には、左方が優先されることとなります。
交通事故の損害額について検討をする際、ご依頼者様から伺った事項や事故証明書に記載されている場所などを踏まえ、地図(グーグルストリートビューなど)を確認します。
その際の地図のほぼ全ては雪の無い状態の道路です。
ですので、例えば地図上では路幅にはっきりと差があるような場合であっても、実際の事故発生時には雪が積もって同程度の路幅になっていたという場合があります。
このように積雪によって路幅が同程度になっていた場合は、元々の路幅に関わらず、同程度の路幅での事故を基準として、過失割合が考えられることとなります。
積雪による道路標識の見え方
路幅といった道路それ自体の状況のほか、道路標識や道路標示にも注意が必要です。
道路標識や道路標示については、「歩行者や運転者が客観的に認知できるものである」必要があるとされております。
裏を返せば、歩行者や運転者が客観的に認知できるものでない場合、その標識、標示は(一時的に)効力を失うと考えられています。
つまり、雪に埋もれてしまって標示が全く見えない状況の場合、本来そこにある標識、標示に基づく主張等ができなくなる可能性があります。
雪道での追突事故
基本的に、雪道、雪のない道路に関わらず、追突事故は追突した側が100の過失があると考えられます。
道路交通法 第26条では、車間距離について次のように定められています。
「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。」
上記の通り、追突事故が発生した場合は、原則的に車間距離を保っていなかった追突した側の責任となるのです。
いわゆる玉突き事故も同様の考えです。
もっとも、実際に被追突車両が急ブレーキをかけていた様な場合においては、被追突車両にも2割程度の過失が認められる可能性があります。
この主張の根拠として用いるものとしては、現場におけるタイヤ痕(ブレーキ痕)やドライブレコーダーの映像と言ったものが考えられます。
ただし、雪道においては、追突された車両が急ブレーキを踏んだという主張を行いたくてもブレーキ痕が見つからないことがあります。
そのため、雪道でなければ過失の主張ができたにもかかわらず、それができないというケースが考えられます。
この場合に備え、ドライブレコーダーの映像の確保や事故直後の路面状況を写真に撮ると言った方法が重要となります。
雪道での交通事故の過失割合は当時の積雪状況を踏まえた検討が必要
このように、雪道における交通事故は、単に一般的な付近の状況だけではなく、事故発生当時の現場の状況を踏まえた検討が必要不可欠になります。
雪道における事故の損害額の検討、検討結果を踏まえた相手方との交渉につきましては、是非専門家である弁護士をご活用いただければと思います。
当法律事務所では交通事故の無料相談も行っておりますので、是非ご活用ください。
また、当事務所のブログでは、交通事故に関する法律問題のコラムも多くご紹介しています。
あわせて参考にしていただければと思います。