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  • 就業規則によって労働条件の変更をする
  • 就業規則によって労働条件の変更をする
    堀江・大崎・綱森法律事務所
    種田 紘志

    弁護士の種田です。

    前回、多数の人員を抱える企業の中で統一的な運用をするための基準である、

    就業規則についてご説明をさせていただきました。
    労働条件を定める「就業規則」について

    今回は、その就業規則により、労働条件が変更となる場面についてご説明したいと思います。

    労働条件とは、使用者・労働者間の雇用契約の詳細を定めるものですが、
    これを変更するには、契約内容の変更である以上、両当事者による合意が大原則となります。

    もっとも、一定の場合には、個別的に合意が無くとも就業規則を変更することにより、
    労働条件を変更することが可能となっています。

    その一定の場合とは、法律上、
    「変更後の就業規則を労働者に周知させ」、
    かつ、
    「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」
    に可能であるとされています。

    前半の部分(周知)は前回の記事でもご説明した点ですし、表現も簡易ではあるのですが、
    特にわかりにくいのが後半の部分です。
    後半の部分は前回記事でも記載したように「合理性」があるかないかという視点を指しているのですが、

    その要素として4つの事項が挙げられています。
    要素ということは、4つの事項を総合的に検討する、ということを指しますので、たとえば交渉が無いからという理由のみで合理性が認められることはない、といったことにはなりません。

    以下、各事項について解説をします。

    1つめは、労働者の受ける不利益の程度です。
    労働者の受ける不利益があまりにも大きいような場合だと、急激に生活が変化することになるため、合理性はない方に傾く事情となります。
    他方で、経過措置(段階的引き下げなど)、代償措置(片方では不利益となるものの、別の面で利益になる措置を講ずる)などが講じられているとすると、不利益が小さくなるように配慮がされていると考えられておりますので、合理性は肯定される方に傾きやすくなります。

    2つめは、労働条件の変更の必要性です。
    この点について、会社がなぜ変更をしなくてはならなかったのか、という視点が重要となりますが、
    特に、賃金や退職金などの重要な権利については、会社側に高度の必要性が認められることが必要という判断が裁判所にてなされております。

    3つめは、就業規則の内容の相当性です。
    これは、変更後の就業規則の内容それ自体が相当かどうか、また、同業他社と比較した場合はどうかといった視点で検討されることとなります。

    4つめは、交渉の状況です。
    労働組合との交渉が念頭に置かれておりますが、多数組合が必ずしも一部の少数者の利益を代表していない事案もあったことから、どこまでこの要素を重視するかという点について、統一的な運用がなされているわけではありません。

    以上のように、就業規則の変更は、検討要素が多岐にわたりますので、
    その合理性の検討は、事案毎に異なりますし、詳細に行う必要があります。

    就業規則による(知らないうちに)自分の労働条件が不利益に変更されていたとき、
    逆に会社の就業規則を変更するときなどには、是非一度ご相談ください。