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  • 交通事故で腱鞘炎(ドケルバン病)。手首の痛みの後遺障害等級を解説。
  • 交通事故で腱鞘炎(ドケルバン病)。手首の痛みの後遺障害等級を解説。
    ほっかい法律事務所
    大崎 康二

    交通事故の影響で腱鞘炎になった場合、後遺障害等級が認められる場合があります。

    等級によって受け取れる慰謝料などに差が出てくるため、後遺障害等級の認定は弁護士に依頼すべき重要な要素となります。

    今回は、交通事故による腱鞘炎で後遺障害等級12級が認められた当事務所での事例や、等級に応じた慰謝料の目安などをお伝えします。

    腱鞘炎とは?

    腱鞘炎は「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」と「バネ指(弾発指)」の2種類に大きく分けられます。

    ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)とは、手首から親指にかけて存在する腱が炎症を起こして、腫れや痛みをなどの症状を伴う状態のことです。

    親指を動かすと痛みがあるケースが多く、親指側の手首や手の甲に痛みが出ることもあります。

    バネ指は、指の靭帯性腱鞘と屈筋腱の間に炎症が起こった状態のことです。

    指を動かすと付け根が痛んだり、バネのように指が弾けて伸びる症状が出ることもあります。

    交通事故の腱鞘炎で後遺障害等級12級が認められたケース

    交通事故によってドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)を発症した事例で、後遺障害等級12級を前提とする和解が成立したという事例があります。

    当初は自賠責保険で14級と認定されていたのですが、当事務所にご相談いただき、異議申立と民事訴訟を経て12級前提の和解となりました。

    本件の依頼者は、同じ手首のTFCC損傷のケースで、裁判で12級相当の和解を勝ち取ったという当事務所のブログ記事を見て、当事務所に相談申込みをされた方です。

    ご自身も同じ症状悩まれているということで示談対応を依頼いただきました。

    自賠責保険では14級に認定

    本件の事故は、車両同士の追突事故であり、ハンドルを握っていた被害者の右手に強い衝撃が加わったことが原因と考えられました。

    このケースでは、被害者の方は、交通事故後に手首の痛みに悩まされていました。

    症状固定後も動作時には手首、親指の付け根下部、手の甲の筋、それぞれの指の節々に疼痛を生じるという自覚症状が残っていました。

    TFCC損傷などの怪我と同じく、手首の腱に異常が生じると、手首をひねったり、荷物を持って手首に負担がかかると強い痛みが生じ、日常生活に大きな影響を与えます。

    主治医からは右手首の腱鞘炎の診断が得られていました。

    MRI画像でも親指側の腱部分に高輝度反応があり、素人目にも炎症像が確認しやすいケースでした。

    このように神経症状の発生について、他覚的所見が確認できる場合には、理論上は後遺障害等級は12級となります。

    しかし、自賠責保険の後遺障害等級認定手続では、腱などの軟部組織に他覚所見があったとしても、12級を認めず14級とする傾向があります。

    このケースでは、労災手続を取っており、労災では12級が認定されましたが、自賠責保険では14級の認定に留まっていました。

    裁判で12級前提の和解が成立

    このケースでは、受任後に協力医に話を聞いたところ、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)であり、MRIで他覚所見ありとの意見をもらいました。

    そのため、この意見に従って自賠責保険に異議申立を行ったのですが、それでも14級という認定が変わらなかったため、民事訴訟を提起しました。

    裁判の中では、保険会社からは保険会社の顧問医の意見書が出され、交通事故とドケルバン病の診断までに時間が空いていることなどが反論として出されました。

    これに対しては、診断までに時間はかかっているものの、カルテを丁寧に読めば、事故の直後から手首の痛みを訴えていたことがわかるという点を中心に反論を行い、また、こちらの協力医の意見書も提出しました。

    その結果、最終的に裁判所からは12級を前提とする和解案が提示され、勝訴と同等の解決案を得ることができました。

    決め手になったのは、こちらの協力医の意見書が非常に説得的であったという点だと思います。

    このケースでは訴訟がやや長期化したため、解決までには1年以上を要することになりましたが、最終的には被害者の方に納得いただける解決を図ることができました。

    交通事故によるドケルバン病でお悩みの方に希望を与える解決になったと思います。

    後遺障害等級の異議申立てが通らず、依頼者としても不安を覚えながらの裁判になったと思います。

    しかし、私としても諦めずに請求をするということの大切さを再認識する事件になりました。

    交通事故による腱鞘炎。慰謝料の目安とは?

    交通事故によって腱鞘炎(ドケルバン病)になってしまった場合、認定される可能性のある後遺障害等級は何級になるのでしょうか?

    また、その等級に応じた慰謝料はどのくらいになるのでしょうか。

    腱鞘炎の後遺障害等級認定の基準

    交通事故によって腱鞘炎(ドケルバン病)を発症し、治療後も腱鞘炎の症状が残った状態となった場合、後遺障害等級としては、12級または14級の後遺障害等級が認められる可能性があります。

    14級に認定される基準は、神経症状の残存が医学的に説明可能であること。

    12級に認定される基準は、残存は医学的に証明可能であることとされています。

    12級に認定されるためには、MRI検査の結果などの「他覚所見」によって画像で神経症状の原因が確認できることが必要となります。

    この記事の中で紹介したケースでも、MRIで腱鞘炎の発症が確認できることが12級の後遺障害等級を得られた決め手になったと思います。

    後遺障害等級に応じた慰謝料の目安

    交通事故によって腱鞘炎(ドケルバン病)を発症した場合の後遺傷害慰謝料については、以下が目安の金額となります。

    後遺障害等級12級 → 290万円

    後遺障害等級14級 → 110万円

    民事裁判の中ではこの金額が後遺傷害慰謝料の基準とされていて、あとは症状の重さや日常生活における支障の程度によって、金額が加算されることもあります。

    弁護士が被害者の代理人として保険会社との示談交渉を行う場合には、この裁判基準の金額をベースに交渉を進めることになります。

    被害者本人が直接保険会社と交渉する場合、保険会社によっては、自賠責保険の後遺障害慰謝料額(12級→94万円、14級→32万円)に近い金額を提示することもあります。

    もちろん、被害者本人が直接交渉をして、裁判基準に近い金額の示談交渉を勝ち取るケースもあります。

    しかし、それは被害者の方の交渉能力によって、示談金額が大きく変動することにもなるので、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼して進めるのが確実で安全といえます。

    交通事故による腱鞘炎でお困りの方は弁護士にご相談を!

    交通事故で腱鞘炎(ドケルバン病)になってしまった場合、14級や12級の後遺障害等級が認められる可能性があります。

    自賠責保険で14級と認定された場合でも、裁判によって12級認定を受けられることがあります。

    認定に納得がいかない場合は諦めずにご相談いただきたいと思います。

    交通事故に関わる法律トラブルでお悩みを抱えている方は、当法律事務所へぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

    無料で何度でもご相談いただけます。

    また、当事務所のブログでは、交通事故の法律問題に関するコラムを多くご紹介しています。

    合わせて参考にしていただければと思います。