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  • 後遺障害非該当でも賠償金がもらえた・増額した事例のご紹介
  • 後遺障害非該当でも賠償金がもらえた・増額した事例のご紹介
    ほっかい法律事務所
    堀江 健太

    一般的に交通事故によってなんらかの後遺症が残った場合、後遺障害認定を申請することができます。

     

    しかし、事故に遭う以前から患っている傷病がある場合や事故後数ヶ月してから症状が出てきた場合などは、交通事故によって後遺症が発生したという因果関係が認められないとして、後遺障害として認定されない(後遺障害非該当)ケースも多くあります。

     

    交通事故による後遺障害に該当しないという結論が出ると、交渉で後遺障害について賠償を得ることは非常に困難ですが、ケースによっては賠償金を得ることが可能になったり増額できたりすることもあるのです。

     

    今回は、後遺障害非該当の場合でも賠償金を得ることができた事例や賠償金が増額した事例についてご紹介いたします。

     

    後遺障害非該当から後遺障害14級相当の賠償金を得られた事例

    この事例の依頼者は、大腿骨頭壊死という怪我で、片足に運動障害が残ったのですが、これについて自賠責保険に後遺障害の認定申請を行ったところ、交通事故との因果関係はないと判断されました。

     

    後遺障害非該当と判断されたのは高齢であることが理由

    後遺障害非該当と判断された理由として、事故直後1ヶ月ほどは特に痛みを訴えていなかったこと、加齢により起こりうる怪我であるところ依頼者が高齢であったことがあります。

     

    しかし、依頼者はスポーツクラブに通うなど日常的に運動を行っている方で、交通事故とは関係なく大腿骨頭壊死が発症するとは考えがたい状況でした。

     

    そこで、2名の医師にカルテとレントゲン・MRI画像を見てもらい、意見を聞いたところ、1名は加齢により骨が脆弱になったことに起因するものである可能性が高いという回答で、もう1名は交通事故外傷によるものである可能性が高いというものでした。

     

    訴訟を提起し後遺障害の賠償金を獲得

    保険会社との交渉においては、自賠責で後遺障害に該当しない(交通事故と因果関係が無い)とされている以上、後遺障害の賠償金は払えないというのが保険会社の見解だったため、訴訟により解決を図ることとしました。

     

    訴訟では、上記の交通事故外傷によるものである可能性が高いと判断した医師に意見書を書いてもらいましたが、保険会社からは加齢により骨が脆弱になったことに起因するものである可能性が高いという医師の意見書が出されました。

     

    裁判所の判断としては、交通事故とは関係なく発症したものであると考えられるというものでしたが、医師の意見書の他にも、依頼者が事故前は日常的に運動を行っていて、何の問題も発生しなかったことや、病院での定期的な健康診断でも骨について異常を指摘されたことがなかったことなどを丹念に主張したこともあり、後遺障害について一定の賠償金を支払う方向で和解を検討するよう保険会社に対して提案してくれました。

     

    その結果、14級相当の後遺障害に該当するという前提で賠償金が計算され、和解することができました。

     

    後遺障害非該当とされた個人事業主の賠償金が増額した事例

    こちらの事例は個人事業主である被害者の方について弁護士が代理人となって保険会社と交渉したことにより賠償額が増額した事例です。

     

    後遺障害非該当と過失相殺の問題のため賠償額は厳しいものに

    被害者の方は,相手方の保険会社との間での示談交渉の前に自賠責保険への被害者請求を先行させ,まず120万円の保険金の支払いを受けました。

     

    その後,相手方の保険会社との間で賠償の交渉をしたのですが,保険会社の算定では,事故による損害額は既に自賠責から支払われた120万円を下回るため,示談金は0円(保険会社が算定した損害金から既払金120万円を引くと,マイナスとなる。)という回答でした。

     

    このケースでは自賠責の後遺障害認定で非該当との判断が出ており,異議申立もしたのですが認定は変わりませんでした。

     

    過失相殺の問題もあり,保険会社による損害金額の算定は上記のとおり厳しいものになっていました。

     

    弁護士による交渉で最終的に約100万円増額

    弁護士が代理人となっての交渉では,過少に評価されていた個人事業による休業損害(基礎収入額)について事業の実態に即して増額算定すべきことを主張し,また,後遺障害は非該当となったものの後遺障害診断書にも痛みが残存している旨の記載があることから慰謝料において考慮し増額すべきことを主張しました。

    保険会社の提示金額はマイナスからのスタートでしたが,交渉の結果,最終的な示談金額は100万円近くまで増額となりました。

    休業による減収額が明確になりやすい会社員の場合と違って,個人事業主の場合には休業損害額に争いを生ずるケースが多く,弁護士によるアドバイスや代理の必要性は高いと思われます。

    個人事業主の休業損害に関する事例は「個人事業主の休業損害について250万円の増額を得られた事例」でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。

     

    加害者が任意保険未加入。自賠責保険からの回収を試みた事例

    こちらの事例の依頼者(被害者はお子様)は、後遺障害非該当とされた上、加害者が任意保険未加入にしておらず自賠責保険から損害の一部しか賠償が受けられずに困っており、当事務所に相談いただきました。

     

    当事務所受任前から後遺障害非該当と認定

    被害者は症状固定後も痛みが残る状態でしたが、受任前の段階で既に後遺障害には該当しないという認定がなされていました。

     

    しかし、歩行中の事故であることや、入院期間がかなり長いことを踏まえれば後遺障害が認定されるべき事案であると考え、自賠責保険に対し異議申立を行いました。

     

    加害者との交渉で賠償金を分割で支払ってもらえる結果に

    しかし、受任前に作成された後遺障害診断書の内容が後遺障害の認定を受ける上では不適切な記載となっており、それが尾を引いてしまい異議申立は認められませんでした。

     

    しかし、後遺障害に関する損害以外は、自賠責保険から回収しきれなかった部分について、加害者と直接交渉を行い、分割で支払うという合意を取り付けることができました。

     

    後遺障害非該当でも諦めず当事務所までご相談を!

    後遺障害非該当となってしまった場合は交渉で後遺障害について賠償を得ることは非常に難しいです。

     

    しかし、今回ご紹介した事例のように交渉や訴訟の場で丹念に主張することで、後遺障害について一定の賠償を行う内容の和解を勝ち取れることもあり、なかには非該当から該当と認定されるケースもあります。

     

    個人での解決は難しい問題のため、当事務所にご相談いただいたお客様からも「早く相談しておけば良かった」といった声もいただいております。

     

    当事務所では交通事故に関する無料相談を承っていますので、後遺障害に該当しないという結論が出た場合でも、ぜひ当事務所までお気軽にご相談下さい。