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  • 相続放棄の手続きとは?弁護士に依頼するメリット
  • 相続放棄の手続きとは?弁護士に依頼するメリット
    ほっかい法律事務所
    中谷 亜佑里

    最近「相続放棄」をしたいという相談をいくつか受けました。

    ただ、相続放棄をできる期間は限られており、それまでに決められた手続きを履行する必要があります。

     

    そこで今回は、相続放棄とは何か、どのような手続が必要なのか、弁護士に依頼することのメリット等についてご説明します。

     

    手続きの前に確認。相続放棄とは?

    人が亡くなると、亡くなった日に相続が発生します。

    亡くなった方を「被相続人」、相続する方を「相続人」といいます。

     

    法律で決まっている「相続人」とは、亡くなった方の配偶者のほか、子や親(または祖父母)、兄弟姉妹です。子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹となります。

    なお、子や兄弟姉妹が既に死亡していれば、その子が相続人となります(代襲相続)。

     

    相続が発生すると、基本的には相続人全員で相続することとなります。

    しかし、「相続放棄」をした相続人がいれば、その方は相続を開始した日から相続人ではなかったものとみなされます。

     

    つまり、相続人になりたくない方は、相続放棄の手続をすることになります。

     

    相続放棄のメリット・デメリットとは

    相続放棄のメリット

    相続人になると、被相続人の負っていた債務も相続することとなります。

    そのため、被相続人が債務超過である場合は、相続放棄をすることでその債務を負担する義務がなくなりますので、相続放棄のメリットがあるといえます。

     

    また、遺産を特定の相続人のみに相続させたい場合や、相続の争いから解放されたい場合にも、メリットがあります。

     

    なお、相続放棄ではなく、遺産分割協議において特定の相続人については債務を相続しないものと定めることも可能ですが、その協議内容については債権者に当然主張できるものではありません(相続人間での約束事にすぎません)。

     

    そのため、債権者に対して自分は債務を負わないと主張するためには、やはり相続放棄をする必要があります。

     

    相続放棄のデメリット

    相続放棄をすると、被相続人の債務だけでなく財産をも相続できなくなります。

     

    そのため、例えば被相続人名義の不動産を取得したい場合、相続放棄をするとその不動産を相続することはできなくなりますので、この点は相続放棄のデメリットといえます。

     

    相続放棄ができる場合とは?

    相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内にする必要があります。

    この「知った時」から3か月間を熟慮期間といいます。

    相続人は、この熟慮期間に相続財産について調査をしたうえで、相続放棄するか否かを決めなければなりません。

     

    もっとも、相続開始後に相続人が被相続人の所有物を売ってお金に換えたり、被相続人が生前に貸していたお金を借主から回収する等してしまうと、たとえ3か月以内であったとしても相続放棄はできなくなります。

    このような行為は相続人が相続を前提として行った行為であり、自己の利益になるようにプラスの財産のみを相続し、そのほかについては相続しないとの選択をすることは認められていないからです。

     

    また、被相続人の死亡から3か月以内であれば、相続放棄できる期間内であることに間違いありません。

     

    被相続人が死亡したことを知るまでに時間がかかった場合や、自分が相続人であることを知るまでに時間がかかった場合、そのような事情を説明して認められれば、3か月を過ぎても相続放棄できる期間内の申述となります。

     

    そのほか、自分が相続人であることを知ってから3か月が経過してしまったとしても、相続財産が全くないと信じてしまい、そのように信じたことに相当な理由があると認定される場合であれば、いまだ相続放棄が可能な期間内であると判断される例もあります(最二小判昭和59年4月27日判時1116号29頁)。

     

    ただ、いずれにしても被相続人の死亡から3か月が経過すると相続放棄ができなくなるリスクはありますので、放棄の申述をするのは早いに越したことはありません(なお、相続放棄の熟慮期間の伸長が認められるケースもあります)。

     

    相続放棄の手続きや費用について

    相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で行います。

     

    申述に必要な費用は、申述人1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手代(札幌家庭裁判所の場合は、246円)です。

    下記の申述に必要な書類(代襲相続人や祖父母の場合については省略します)を家庭裁判所に提出し、受理の審判を待つこととなります。

     

    〈共通〉

    ①相続放棄の申述書(申述書のフォーマットはこちら

    ②被相続人の住民票除票又は戸籍附票

    ③申述人(放棄する方)の戸籍謄本

     

    〈被相続人の配偶者又は子の場合〉

    ①②③のほか、

    ④被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

     

    〈被相続人の父母の場合〉

    ①②③のほか、

    ④´被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

    ⑤被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

     

    〈被相続人の兄弟姉妹の場合〉

    ①②③④´⑤のほか、

    ⑥被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

     

    相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリット

    相続放棄の手続きをご依頼いただいた場合には、弁護士が上記の必要書類を揃えて家庭裁判所に提出しますので、ご依頼者様のご負担が無くなります。

    また、前述の“相続放棄ができる場合”にあたるかどうかが微妙な場合にも、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。

     

    一部の方が相続放棄をされることで、別の方が新たに相続人となることもありますので、相続放棄をするとどのようになるかといった点を詳しくご説明します。

     

    当事務所(ほっかい法律事務所)での相続放棄の手続きは、相続人1名あたり50,000円(税別)でお受けしています(熟慮期間などについて法的な主張が必要となる場合には、金額が変わる場合もございますので、ご相談ください)。

    相続人や相続財産の確定をしたうえで相続放棄するか否か決めるのが望ましいですし、その調査から弁護士に依頼することも可能です。

     

     

    ご家族が亡くなると、紛争になっていない場合であっても、どうすれば良いかわからない点が多いかと思います。

    弁護士に相談すると、見えていなかった問題が明らかになることもありますし、今後の紛争を避けるためにどうすれば良いか、アドバイスを受けることも出来ますよ。

     

    札幌のほっかい法律事務所では相続に関する初回相談は無料で行っておりますので、まずは出来るだけ早くご相談にいらしていただければと思います。