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市民後見人になるにはどうすればいい?市民後見人とは何かも解説! ほっかい法律事務所大崎 康二市民後見制度は、専門家ではなくボランティアの市民で後見業務を行う制度です。
この業務を行う人のことを市民後見人と呼びます。
今回は、市民後見人の業務内容や、市民後見人になるためにはどうしたらいいのかなど解説していきます。
市民後見人とは?
市民後見とは、一般の市民の方がボランティアで成年後見人を務めることをいいます。
後見人は、認知症などによって判断能力が不十分な高齢者などを支援し、ご本人の代理で契約を結んだり財産を管理する役割を果たします。
本人の財産を管理・保全する財産管理だけでなく、本人の生活や治療、療養や介護などについてサポートする身上監護も行います。
しかし、実際に食事の世話をしたり介護をするわけではなく、介護施設への入退所の手続きなど、法律行為に関することで支援します。
また、支援内容について報告するなど、家庭裁判所の監督を受けながら職務に従事することになります。
成年後見の手続では、通常は親族や専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が成年後見人として選任されます。
しかし、成年後見人となる身内の方がいらっしゃらなかったり、専門職の後見人を選任するだけの資力に不足するケースなどでは、誰を成年後見人とするのかが問題となります。
特に近年では核家族化の進展により、このようなケースが増えており、その対応が必要となっています。
そこで政策として打ち出されたのが、市民後見人の養成です。
別のコラムで専門職後見人の業務内容や選任方法などについて詳しくご紹介しています。
専門職後見人と市民後見人で役割は少し異なりますが、後見人として共通する事項もありますので、よろしければご参考ください。
市民後見人になるには
市民後見人になるために資格は必要ありません。
講座を受けて市民後見人として市民後見バンクに登録しておき、家庭裁判所に選任されることで市民後見人となります。
市民後見人になるまでの流れ
具体的には、まず地域でボランティアとして手を上げていただける方は、各自治体の社会福祉協議会などが実施している養成講座に応募します。
その後、成年後見制度に関する必要な知識等についての研修を受講し、市民後見人の候補者として登録を行います。
登録後に家庭裁判所から選任されることで、市民後見人としての仕事がスタートします。
これを市町村など全国の各自治体が推進しており、札幌でも市民後見人の養成研修が行われています。
市民後見人養成研修の講義内容
札幌市の市民後見養成講座は、例年9月から翌年1月にかけて全8回の日程で実施されています。
前半の日程は、基礎研修として、成年後見の制度や、成年後見の対象となる高齢者や障害者の理解を深めるもの、成年後見に関わる各種の制度・法律を学ぶ講義などがあります。
後半の日程は、実務研修として、成年後見の事務に関する各種書類の作成方法に関する講義のほか、課題演習、施設見学などを行っています。
一連の研修を受けることで、成年後見人として活動するうえでの必要となる知識や技術が身に着く内容となっています。
ボリュームいっぱいの研修ですが、成年後見人として活動する中で、わからないことが出たときに、研修の内容をふり返ることで多くの問題が解決できる内容になっていると思います。
ちなみに、私も札幌市の市民後見人養成研修で「民法の基礎」というテーマで何度か講義をさせていただいています。
回数を重ねるごとに、内容をさらにブラッシュアップさせ、よりわかりやすい講義を心がけていました。
受講者のみなさんにも、真剣に講義を聴いていただけました。
わかりやすい講義を心がけたものの、普段馴染みのない法律の話を理解するのは簡単ではないのではないかと思います。
それでも、質疑応答の時間には積極的に質問をいただき、和気藹々とした雰囲気の講義となりました。
市民後見人にご興味のある方は、ぜひ応募をご検討いただければ幸いです。
市民後見人になるには受講と登録が必要!
市民後見人は、高齢で認知症などにより判断力が十分でない方を支援し、代理で契約を交わしたり財産管理をする重要な職務です。
市民後見人になるには、成年後見制度などに関する講座を修了して知識や経験を積み、市民後見人として市民後見バンクに登録をする必要があります。
関心がある方は、各都道府県や市区町村のホームページなどで市民後見人養成講座に関する情報が公開されていますので、ご確認ください。
ただ、相続の問題など市民後見人では手に負えないケースも出てくることがございます。
当事務所では、遺産や相続に関する無料相談も行っておりますので、お悩みの際はご活用いただければと思います。